基礎練習の大切さ(1)
ある程度慣れてくると、どう
しても曲が弾きたくなる。
上達すれば、弾ける可能性のあ
る曲は増えてくるし、限られた
時間の中で練習をすることにな
るから、出来るだけ曲の練習に
時間を費やしたい。
しかし、実は上達すればする
ほど、基礎練習が大切なのだということを、体験した。
以前、私が発表会を目指して、タンゴ・アン・スカイを練習して
いた時のこと。
何度弾いても上手く弾けない箇所の練習をしていると、先生
から「確実に弾けるくらいの速さに落として、音をしっかり
出す練習をしなさい。それと、いきなり弾かないで
基礎練習の時間を取りなさい。」と
言われた。
騙されたと思って、曲をゆっくり弾く練習と基礎練習を
地道にやっているうちに、はっと気がついたことがあった。
このタンゴ・アン・スカイという曲。村治佳織や大萩康司が
取り上げたことから有名になったこの曲は、技術的にかなり難しい。
何よりも速いし、楽譜を見てもらえばわかることだが、最初は
どこから手を付けたらいいのか分からない感じがする。
実はそこに落とし穴があって、速く弾こう速く弾こうと勝手に
思い込んで練習していたのである。
そう、この曲、死ぬほどゆっくり弾いてみると、一部ポジション
移動が大変な所もあるが、それ程難しくはない。
いや、個々に分解してみると、実は基礎練習であるアルペジオ、
スラー、スケールのオンパレードになっているのだ。
ゆっくり弾く練習と基礎練習を一緒にやったことで、そのことに
気がつくことが出来たのである。
どんな難しい曲も、細かく分解してゆっくり練習してみると、
基礎練習の応用形に過ぎないのだということなのだ。
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