予選会の明と暗

 先日の記事にも載っていたインカレポイントの
マジック。選手本人の実力とは直接関係の無いところ
で本選への出場の可否が決まってしまうことについては、
私は少し違うのではないかと思う。1位から9位まで
純粋に10人の合計タイムのみでその優劣を選考した
方がすっきりするのではないか、昨日の日本テレビ
予選会の様子をテレビで観ていて思った。
母校の好成績は嬉しかった。ただ、本選にまでとって
おいて欲しいなあとも思ったが・・。その一方で、拓殖大
国士舘大の間の逆転の経緯には納得出来ないものを
感じてしまった。

早大圧倒、5分50秒差…箱根予選会

最後の力を振り絞りゴールに向かう主将の藤森(30番)ら早大チーム 陸上・第83回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会(21日・国営昭和記念公園20キロコース)――50位までに10人。早大が2位の専大に距離換算で約2キロもの大差をつけた。他校を圧倒してのトップ通過に、かつてスター選手だった渡辺康幸駅伝監督は宣言した。「就任3年目の今年は勝負の年。(本大会では)往路で優勝を争い、総合で3番以内に食い込みたい」

 転機はこの夏に訪れた。イタリアでの大会でエースの竹沢(2年)が五千メートルで日本歴代3位の記録を出した。日本を代表するランナーへと成長を続ける大黒柱は、出場するレースも多くなる。「竹沢抜きでも戦えるチームにならないといけない」。一人ひとりがそう考えるようになり、練習にも熱がこもった。主将の藤森(4年)は「過去2〜3年よりも質、量の両面でいい練習ができていて、力がついたと実感していた」と言う。

 エースだけに頼らないチーム作りが今回、生かされた。竹沢が2週間前に股(こ)関節を故障し万全ではなかったが、残るメンバーが実力を出し切って、逆境をはねのけた。「自分がチームに勢いをつけたかった」と、個人で3位に入った駒野(3年)。個々の意地の結晶が、本大会に弾みをつける好成績をもたらした。

 4年連続でシード権を逃してきた伝統校だが、創立125周年となる来年度の優勝を目指している。そのためにも、今回は「予選会だけ好結果を残すワセダ」の汚名を返上するつもりだ。(大野展誠)

(2006年10月23日14時45分 読売新聞)

国士1秒差で逆転、拓大は2年連続涙…箱根予選会

本戦出場を決め喜ぶ国士大 陸上・第83回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会(21日・国営昭和記念公園20キロコース)――1秒差で箱根出場を決めた国士大の選手たちは、9番目に校名が呼ばれた瞬間、次々とガッツポーズ。五十嵐克三コーチは「1月2日にスタートラインに立てることが本当にうれしい」と、ほっとした表情を見せた。

 インカレポイントの換算で拓大を逆転。昨年も合計タイム10位から、拓大を逆転していただけに、五十嵐コーチは「ポイントを使って1秒差。まだまだ力が足りないと痛感した」と気を引き締めていた。個人で114位に終わった4年生エースの竹田も、「本番ではしっかり挽回(ばんかい)したい」と活躍を誓っていた。

 一方、国士大が歓喜に浸っている時、拓大の選手たちは、唇をふるわせ、むせび泣いていた。

 インカレポイントが導入されて5年目で、ポイントによる落選は2年連続3度目。しかも、相手は国士大ばかりで、今回は「1秒」で夢を失った。

 「ルールだから仕方ないが、本人が頑張ってもどうにもならない仕組みが、教育的観点からいいのか」。涙をため、報道陣に問いかけた川内勝弘監督は、「ポイントを使わない6位以内に入れなかったのが敗因。この悔しさを、選手は忘れないでほしい」と話した。

 10人の合計なら7位。国士大には3分39秒もの差をつけていた。その自信を胸に、はい上がるしかない。(松田陽介、近藤雄二)

(2006年10月23日14時49分 読売新聞)