ただ、君を愛してる

 説明会から帰ると、顧問先の会社から書類が
届いていた。
 今週中に仕上げなければならないものである
ことが分かり、急いで手を付ける。明日報告すれば
いいのだが、ある程度の所までは仕上げておかないと
明日がきつい。一応たたき台となるものが出来上がった
のが5時半。あとは、明日まとめることにして、昨日
から予定していた映画を観に行った。


 戦争ものの「父親たちの星条旗」にしようか、恋愛もの
の「ただ、君を愛してる」のどちらにするか迷った
が、実話に基づく硫黄島の日本軍玉砕の話をアメリ
人の視点で見た話である前者は前評判は高そうだった
ものの、観終わって精神的にど〜んと落ち込みそうだった
ので、却下。「ただ、君を愛してる」にした。



 公開されてまだ間もないのでもっと混んでいるかと思った
が、それ程でもなく余裕で座って観ることが出来た。
 「いま、会いにゆきます」の市川拓司による「恋愛写真 
もうひとつの物語」が原作で、主演は朝の連続テレビ小説
純情きらり」や映画「NANA」の宮崎あおい、ドラマ
氷壁」「功名が辻」に出演している玉木宏のふたり。
黒木メイサ小出恵介上原美佐大西麻恵など今が旬の
若手俳優も脇をしっかり固めている。
主題歌は「恋愛写真」の大塚愛
光を駆使した映像がとても綺麗で、時に神秘的な雰囲気を
醸し出している。


 大学の入学式の日、心に抱えたコンプレックスのために人
と上手く付き合うことの出来ない誠人(玉木宏)は幼い容姿
の個性的な女の子静流(宮崎あおい)と出会う。それが、恋を
してはいけない運命にある彼女を恋に走らせるきっかけと
なるとは知らずに・・。時にはけんかをしながらも、カメラ
を通じて縮まっていく二人の距離。
 しかし、大学卒業を目前にして、誠人との想い出のキスを
胸に、静流は突然彼の前から姿を消してしまう。
 そして2年後、誠人のもとに静流から1通の手紙が届く。
ニューヨークで催される静流の写真展の案内だった。
 2年ぶりの再会を楽しみにニューヨークに駆けつける誠人。
そして、その時初めて、誠人はあの時のキスに秘められた本当
の意味に気がつく。彼に待っていた運命とは・・・?


台詞として紡ぎ出される言葉に、なかなか味わいがあって面白い。


「私、私に生まれてきて良かった。
 ほかの誰でもない、私に生まれてきて良かった。」
「好きな人が好きな人を好きになる。」
「片思いだって、それはそれで完成された恋だよ。」
「人はみんな1人分の幸せをその手に持っているの。
 だからその幸せを待ち受けている子に
 ちゃんと渡してあげないと・・。」


などなど。


 宮崎あおい・・ちょっとコケティッシュな役を演じさせると、
とても素敵な雰囲気を出す女優さんだ。とりわけ、美人だとは
思わないけれど、とても存在感のある女優さんだと思う。
普段渡ることの出来ない横断歩道を渡ることが出来て大喜び
の静流、初デートに履いていくはずの誠人の靴を持って懸命に
後を追いかける静流、動いている演技がとても生き生きとして
見えた。
 ただ、作品としてはクライマックスで少し目頭が熱くなる
程度。この映画の二人の純愛を観て、涙することを期待して
行くと、少し物足らないと思うかもしれない。
 今、隣にいる相手が、自分にとってかけがえのないただ一人の
相手であることに改めて気付かせてくれる、そんな映画だ。


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