憧れの曲(4)〜アストゥーリアス(伝説)

 とにかく、私にとって、この曲は派手な曲という印象がある。
アレグロで始まる序盤は静かな中にも、遠くから何かが近づいて
くるような緊張感があり、その張り詰めた緊張感を突き破るような
激しいラスギャードによる展開部が現われる。
そして、少し気だるい雰囲気を漂わせる中盤、そして再び現われる
アレグロと、曲としての濃淡や色合いがはっきりしている。そんな曲
としての構成が、私にそんな印象を懐かせるのだろう。



 この曲はイサーク・アルベニスの作曲による「スペイン組曲
の中の一曲であるが、その中でもグラナダセビリアと並んで、
プロの演奏会ではよく弾かれる曲なので、耳がタコといった感じ
になるほど聴いていたりする。
 無論、曲としても極めて難しく、なかなか手の出るようなタイプ
の曲ではない。何となく昔からアルベニスの曲は難しいという
先入観があって、過去手を付けたことは全くないのだが、人前で
弾く弾かないはともかくとして、自分のレベルを計るという意味
でチャレンジしてみてもいいかなと思ってみたりしている。その
取っ掛かりとしては格好の曲だろう。


 スペイン国民楽派を代表する彼の手によるこの曲はもともと
ギター曲ではなかった。というのも、彼自身はギターの作品は
書いておらず、その多くがギター独奏や二重奏などにその後
編曲されたものである。しかし、現在ではギターのオリジナル
曲として認知されて今日定着している。