敢えて茨の道を

 ここのところ、色々と悩んでいた今年の独奏曲は、
結局、バッハの「フーガ」BWV998に決めることにした。
敢えて、憧れの難曲に挑戦してみることにしたのだ。
理由はいくつかあるが、ここ数年バリオスパラグアイ
やヴィラ・ロボス(ブラジル)など中南米の作曲家に
よる作品を選んで弾いてきたことが最大の理由だ。私
の好みの曲が彼らの作品の中に沢山あるからで、当然
と言えば当然なのだが、気分一新、ここで一度バッハ
の曲に挑むことにした訳だ。
 下の楽譜は、この曲の冒頭の部分。特に、最初は気が
抜けてしまうくらい簡単に見えるが、この写真の楽譜の
一番下の段からは泣きたいぐらいつらい運指に変わって
くる。



 さて、この曲、このフーガだけの単独の曲ではなくて、
前にプレリュード、後ろにアレグロという2曲に挟まれて
いる3曲から成る組曲の中の1曲という扱いだ。曲名も、
「プレリュード・フーガ・アレグロ」BWV998と一般的には
言われている。全曲弾くと、簡単に10分を超えてしまう
ような大曲で、以前私のブログでも紹介したことがある。


http://d.hatena.ne.jp/barrios/20060928#p1


 この内、プレリュードは7〜8年前にニューイヤー
コンサートで弾いたことがあるのだが、バッハ特有の低音
の伴奏と高音のメロディーのバランスが難しいだけでなく、
運指が極めて難解でポジション移動も多く、そのため音が切れ
易い上に、左手の休む箇所が一箇所たりともなくて、非常に
厳しい演奏だったと記憶している。左利きの私でもきつかった
のだから、右利きの人がチャレンジするのはかなり厳しい
のではないかと思う。


 しかも、プレリュードは約3分ほどの曲であるのに対して、
このフーガは約7分近い長さを誇る。曲の構成はA−B−A
形式で、最初の主題となる部分を最後で再び弾くことになる。
そして、この曲はバリオスの「ワルツ作品8の4」以来のD
調弦の曲。すなわち、本来6弦はE(ミ)の音なのだが、それ
をD(レ)に下げて弾くことになる。


 いずれにしても、折角早く曲を決めたのだから、早い段階
で覚えて、弾き込む形に持って行きたいものだ。実は、以前
冷やかしで主題の部分については手を付けた経験がある。今回
の選曲にそれが生かせれば、言うことは無いのだが・・。


 最後に、今まで弾いてきた「前奏曲第5番」の扱いだが、
今まで折角苦労して覚えたのに、弾かないで忘れてしまう
のは余りにも勿体無いので、今後も弾いていく積もりでいる。
そうしないと、何時まで経っても自分のレパートリーが増えて
いかないからだ。常時、10曲くらい何時でも弾けるように
なるのが理想だと思っている。