フーガBWV998〜序盤(2)

 ギターという楽器は、弦は6本ある。当然、同時に
6本の弦の和音を弾くことが可能だが、押える指は
最大で親指を除く4本の指。開放弦を弾く場合もある
から、一概には言えないが、もし、全部の弦を押える
のだとすると、指の数が足らないということになる。


http://d.hatena.ne.jp/barrios/20070309#p1


 また、前回(3月9日分)の楽譜の4小節目の最初のラと
ド♯の音のところには1という数字が2つ書いてある。
つまり、同時に二つの弦を押える必要があるということ。
このように、同時に1本の指*1で複数
の弦を押える技術がどうしても必要になってくる。この技術
クラシックギターではセーハというが、フォークギター
ではバレーということもあるようだ。楽譜では、C.○
というように書かれている。
 セーハを苦手にする人は意外に多いが、基本的なFコード
やBmコードなどを弾く時には必須なので、出来ないとかなり
苦労することにもなる。


 その典型が3段目のC.○という記号の連続。Cの
後の数字はセーハをするフレットの番号を意味していて、
C.2とは2フレットをセーハで押えることを意味する。
つまり、開放弦のラ(低音)の音は別として、ミ、そして
その後のラとド♯の音は全て2フレットを押えれば音が出る
ため、人差し指1本で4弦までを全て押えてしまう。
 特に、最初のC.2からC.7に飛ぶところはかなり
の難関で、どうしても音が切れてしまう。いや、それどころ
か、最初のうちは2フレットから7フレットへポジション
移動することもままならないだろう。セーハはある程度の力
を必要とする技術だが、あまり力を入れ過ぎると、移動が
上手く出来なくなるからだ。


 この曲は、低音のベース音とメロディーの分離がはっきり
していて、たとえセーハで押さえないところでも、1弦と
5弦、2弦と6弦というように、離れた弦を同時に押えること
も多く、手抜き出来る箇所も皆無で、普通に弾いていても指
を休めるところが無い。弾き切るにはかなりと気力と体力を
要する曲なのだ。

*1:人差し指を使う。