パッチギ!

 映画館では観ることが出来なかったが、昨日ゆっくり
と観ることができた。
 アメリカとソ連、ふたつの大国の争いから祖国が
分断され、その南北分断の象徴となったイムジン川、
そしてその「イムジン川の歌」を公共の場で歌ったり
放送できなかった当時の日本の事情、日本に住みながら
在日朝鮮人が日本人に対して抱く複雑な感情などが
登場人物の言葉を借りて、よく表現されていた映画
だと思う。
 若手の塩谷瞬高岡蒼佑沢尻エリカらの生き生き
とした演技には拍手。少々、乱闘シーンが多かった
のは気になったが。
 

 忘れてはいけないのは、今なお、分断によって
人為的に引かれた国境線がひとつの民族の統一
を阻んでいるという事実が厳然として存在すると
いうことだ。
 戦争の報復を戦争に求めても決して際限がなく、
私を含めて60年余り前にあった戦争を知らない
日本人が多数を占めるようになった今こそ、戦争の
真実と戦争で歪められた多くの人たちの悲惨な体験を
後世に伝えていく義務が我々にはあるのだという
ことを改めて考えさせられた。
 日本のように周りが海に囲まれていても、
これからはボタンひとつ押すだけで戦争になる兵器を
持った国が周りに数多あることを忘れてはいけない。
 最近の日本人は少し平和ボケが過ぎるのでは
ないかとも思った。