夜空の星(1)

 私は昔から、冬になると夜空を見上げる習慣がある。
冬の夜空は空気が澄んでいて、明るい星が多いので、
見ていてなかなか楽しいものである。全天に約20個
ある1等星のうち、実に8個が冬の南の夜空に現れる。


 おおいぬ座α  シリウス(天狼星)
 りゅうこつ座α カノープス南極老人星
 ぎょしゃ座α  カペラ
 オリオン座α  べテルギウス
 オリオン座β  リゲル
 こいぬ座α   プロキオン
 おうし座α   アルデバラン
 ふたご座β   ポルックス

の以上8個である。


 中学時代には将来の夢として、天文学者になりたいと
真剣に考えていたこともあり、当時は、大人でも
難しい天文学の専門書をかなり沢山読んでいたもの
だった。そんなこともあって、今でも夜空を見上げる
時には、その当時のことも一緒に思い出したりする。


 全天で1番明るく見える恒星(自分で光輝いている
星のこと。太陽も恒星のひとつ。)はシリウスだが、
何故この星が一番明るいのか。理由は、私たちの住む地球
の近くにある星だからだ。同じ明るさならば、当然近くに
ある方が明るく見えるのが当然だ。
 では、どのぐらい近いのか。ものの本で調べてみると、
8.7光年と書いてある。光年というのは、天文学で頻繁に
使われる距離を表わす単位で、光が1年間に進む距離を
1光年としている。光は1秒間に30万km進むから、
1光年は

 30万km×60×60×24×365=約9兆4600億km


ということになる。宇宙の広さから言えば、このシリウス
はごく近くにある恒星の代表格なのだが、それでもこれだけの
距離があるのだから、宇宙は如何に広大かということがわかる。
 つまり、今私たちが見ているシリウスの輝きは8.7年前
に放たれた光によることになる。あの有名なアンドロメダ大星雲が
地球から230万光年の彼方にある、地球を含む銀河系と同じ島宇宙
であることを知った時には、驚きにも似た不思議な感覚を抱いたこと
をよく覚えている。